【2月12日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、85)が11日に高齢を理由に退位すると表明したのを受け、聖職者による性的被害者の団体「SNAPオーストラリア(Survivors Network of those Abused by Priests (SNAP) Australia) 」は、ベネディクト16世は聖職者が児童に性的虐待を行う恐ろしい状態の解消にほとんど尽力しなかったと批判し、退位を歓迎する声明を発表した。

 AAP(Australian Associated Press)通信によると、SNAPオーストラリアの広報担当者、ニッキー・デービス(Nicky Davis)氏は「聖職者が児童に性的虐待をするという恐怖の状態を終わらせるのにほとんど何も手を尽くさなかった、計り知れない権力を持つ聖職者の退位を被害者は歓迎している」と述べるとともに、「被害者の目からみれば、ヨゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger、ベネディクト16世の本名)は自ら、被害者を大幅に増やし、被害にあった人々の苦しみを極めて大きく増幅させた」と非難し、次の法王には性的虐待の訴えに関する調査により協力的であって欲しいと訴えた。

 カトリック教会は近年、小児性愛の聖職者やカトリック教会の名声を守るために聖職者による児童性的虐待の事実を隠蔽(いんぺい)したという批判を受け、注目を集めていた。(c)AFP