【2月7日 AFP】南太平洋のパプアニューギニアで6日、20歳の女性が魔術を使ったとして火あぶりの刑で公開処刑された。複数の地元紙が7日、伝えた。見物人の中には児童たちもいたという。

 地元紙ナショナル(National)やポストクーリエ(Post-Courier)によると、事件が起きたのはパプアニューギニア西ハイランド(Western Highlands)州マウントハーゲン(Mount Hagen)。6歳の息子を魔術で殺害した疑いをかけられたケパリ・レニアータ(Kepari Leniata)さん(20)は6日朝、丸裸にされ焼きごてで烙印を押されたうえ、縛られて灯油をかけられ、ごみやタイヤの山の上で地元住民の手で生きながら火をつけられたという。

 警察官は見物人の数に圧倒され処刑を止めることができなかったという。また、通報を受けて消防車も駆け付けたが、住民らに追い返されたという。

 地元各紙はレニアータさんの焼死体の写真とともに事件を1面で伝えた。報道によるとレニアータさんは、息子を殺害したと認めていたという。レニアータさんの息子は5日、腹部と胸部の痛みを訴えて病院に搬送された後、死亡していた。

 警察は処刑に関与した住民らを殺人の容疑で逮捕する方針だ。

■黒魔術信じる国民、「魔女狩り」増加傾向

 貧困にあえぐパプアニューギニアでは魔術が広く信じられており、不幸や病気、事故や人の死に偶然や自然な原因以外の理由を求める傾向が強い。1971年には魔術を違法とする法律が施行されたが、その後、黒魔術を行ったとの理由で人々が襲撃される事件が相次いだことから、最近になって同法の見直しが検討されている。

 地元の牧師はナショナル紙に、魔術に関与したとして多数の無実の人々が殺害されていると指摘。こうした事件は増加傾向にあり、私刑を禁じる法律が必要だと訴えた。

 同国では昨年、7人を殺害してその脳と男性器を食べた疑いでカルト教団メンバー数十人が逮捕された。また2011年には、泣き叫ぶ生まれたばかりの息子を魔術の儀式で食べた男が逮捕されている。  今回の事件があったマウントハーゲンでも09年、魔術に関連した罪で若い女性がやはり裸にされ、生きたまま火あぶりにされている。(c)AFP