【2月7日 AFP】国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録されているイタリアの古代ローマ都市ポンペイ(Pompeii)で6日、1億500万ユーロ(約130億円)の費用をかけた大規模な保全作業が開始された。長年にわたって放置され、崩壊が進む遺跡の維持管理を目指す。

 ベズビオ火山(Mount Vesuvius)のふもとに広がる44ヘクタールの地域を対象に行われるこのプロジェクトは、遺産の維持には不可欠とされる。費用のうち4180万ユーロ(約50億円)は欧州連合(EU)が拠出し、完了は2015年の予定。

 プロジェクトでは、風雨にさらされる危険性の低減、古代ローマ時代の建造物の補強、有名なフレスコ画の修復に加え、長年警備がおろそかにされてきたポンペイ遺跡でのビデオカメラ設置などが行われる。初日の6日にはまず、地下回廊(Criptoportico)と、ポンペイで最も精巧な装飾が施された建物の1つである「ディオスクロイの家(Casa dei Dioscuri)」での作業が開始された。

 今から2000年近く前の西暦79年に起きたベズビオ山の噴火はポンペイを滅亡させたが、降り積もった火山灰や岩石は犠牲者の丸く縮こまった遺体を覆い、建物の多くもほぼ当時のままの状態で保存された。ナポリ(Naples)にも近いポンペイは、数多くの人が訪れる人気の観光地だが、現在ではイタリア政府が数十年にわたり続けてきた文化財のずさんな管理を象徴する存在となっている。最近の緊縮財政による文化関連予算削減の影響も大きい。

 ポンペイでは古代ローマ時代の人々の生活を垣間見ることができるほか、異教への入信の儀式を行う女性を描いたと考えられるフレスコ画で飾られた秘儀荘(Villa of Mysteries)などの見事な建造物の数々も残っている。(c)AFP/Gildas LE ROUX