【2月6日 AFP】インド北部ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州で有名となった少女ロックバンドが、同州のイスラム教最高指導者から「非イスラム的」であるとして活動中止を求めるファトワ(宗教見解)が出されたことを受け、解散を決めた。同バンドのマネージャーが5日、AFPに明らかにした。

 3人組ロックバンド「プラガーシュ(Pragaash)」のメンバーはいずれもまだ高校生。昨年12月にバンドのコンテストで優勝して以来、インターネットを通じた脅迫メッセージが送り付けられるようになっていた。また同州のイスラム法学の最高権威、バシルディン・アフマド(Bashiruddin Ahmad)師は3日、同ロックバンドを「不謹慎」であると断じるとともに、バンドの活動中止を求めるファトワを出した。

 少女らは当初、音楽活動の続行を宣言していたが、バンドマネージャーのAdnan Mattooさんは5日、「ファトワを受けて3人はバンドの解散を決めました」とAFPに話した。また、少女の母親の1人も娘がバンドを離れたことを認めると同時に、ほとぼりの冷めるまで娘が州外にある親類宅に身を寄せることにしたと明かした。

 バシルディン師の発言には批判も多く出ている。オマル・アブドラ(Omar Abdullah)同州政府首相は3人組に対し、脅しに屈せずに音楽活動を続けてほしいと呼び掛けている。同首相は、脅迫メッセージの送り主を捜査する方針を示したが、ファトワを出したバシルディン師への取り調べは行わないと言明した。

 交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)を通じて送られた脅迫メッセージの中には、昨年12月に首都ニューデリー(New Delhi)で起きた集団強姦(ごうかん)事件で死亡した女子学生を引き合いに出し、少女らに危害を加えると脅すものもあった。(c)AFP/Parvaiz Bukhari