【2月2日 AFP】冗談のつもりで立候補したら、英国国教会(Church of England)の最高位職、カンタベリー大主教(Archbishop of Canterbury)に選ばれてしまった――。昨年12月に退任したローワン・ウィリアムズ(Rowan Williams)大主教の後任に決まった英ダラム(Durham)のジャスティン・ウェルビー(Justin Welby)主教(56)が、4日の任命式を前にこんな裏話を披露した。

 イングランド中部ノッティンガム(Nottingham)近郊のトレントビンヤード(Trent Vineyard)教会で1月27日に行われたインタビューでウェルビー主教は、自分のことを「ごくありふれた普通のキリスト教徒に過ぎない」と評価。ウィリアムズ氏退任に伴う次期大主教の選考に応募するよう推挙されたときも、主教になってまだ7か月の自分が立候補するなど「ばかげている」と思ったという。

 世界に信徒8000万人を抱える英国教会の精神的主柱であるカンタベリー大主教の候補者は5人。ウェルビー主教は応募したときについて、次のように語った。

「立候補の意思表明書には、もし大主教に任命されたらあれをやります、これもやりますと書き連ねました。そして一番最後に、こう書いたんです。『私は、この文章を楽しみながら書いています。選考委員の皆さんにも楽しく読んでいただけることを願っています。でも、まあ正直に言うと、これは冗談です。なぜなら、主教になってわずか7か月しかたっていない人間をカンタベリー大主教に任命するなど、全くもってばかげたことだというのが自明だからです。どうか正しい選択をしてくださるよう、祈っております』」

 トレントビンヤード教会のウェブサイトに掲載されたインタビューの中でウェルビー主教は、「私は大主教として、多くの人々をがっかりさせてしまうでしょう。英国国教会というのは非常に人間的なものなんです。そして私も、ごくごく普通のキリスト教徒にすぎません」と述べている。

 ウェルビー主教は、ケンブリッジ大学(Cambridge University)を卒業後、石油会社に11年勤務し役員も務めた経歴の持ち主。1月30日、カンタベリー大主教の公邸であるロンドン(London)のランベス宮殿(Lambeth Palace)に居を移しており、2月4日にセントポール寺院(St Pauls Cathedral)で法的な大主教任命を受ける。第105代カンタベリー大主教の就任式典は、3月21日に英南東部にあるカンタベリー大聖堂で行われる。(c)AFP