【2月1日 AFP】インフルエンザが重症化する危険性を6倍に高める遺伝子変異を、中国系の人々の4分の1近くが持っているとの研究が、29日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 研究を行ったのは中国と英国の共同研究チーム。2009~10年の新型インフルエンザ(H1N1)流行時の病院データを分析した結果、「IFITM3」と呼ばれる遺伝子に変異があると、インフルエンザが重症化して治療を受ける確率が6倍になることが分かった。

 IFITM3は細胞がインフルエンザウイルスと戦う方法を決める遺伝子。インフルエンザの重症化に影響する遺伝コードは「rs12252」と呼ばれ、「CC」「CT」「TT」の3つの型がある。

 研究チームによると、CC型を持つ漢民族は全体の約24%だが、インフルエンザが重症化した患者におけるCC型の比率はこれよりも大幅に高い59%だった。

 論文は「CC型はCT型、TT型と比較して、感染が重症化する危険性が6倍高いと推測される」と述べている。インフルエンザ感染で死亡する危険性も、CC型が「おそらく」高いという。

 AFPの取材に応じた英オックスフォード大学(University of Oxford)のアンドリュー・マクマイケル(Andrew McMichael)氏によると、重症患者の25~50%は呼吸補助が必要なほど症状が悪化していた。同氏は、CC型の危険性の高さがH1N1型だけでなく、全てのインフルエンザにあてはまる可能性があると指摘している。

 北欧ではCC型を持っている人はわずか0.03%だが、病院で治療を受けたインフルエンザ患者の5.3%をこの層が占めていたことが先行研究で分かっている。

 研究チームは、遺伝子検査が中国系や他のアジア系の人々にとって有用かどうかをすぐに調査するべきだと呼びかけている。(c)AFP