【1月29日 AFP】ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領が27日にポートサイド(Port Said)など3県に非常事態を宣言したエジプトでは、28日も反政権デモ隊と政権側の衝突が続いた。主要野党はモルシ大統領が呼びかけた対話を拒否し、さらなる抗議行動を呼びかけている。

 ポートサイドでは26日、前年に74人が死亡したサッカー場での暴動をめぐる裁判で地元サッカークラブのサポーター21人に死刑判決が下されたことから暴動が発生し、警察署が襲撃されるなどしてこれまでに数十人が死亡している。医療関係者によると28日夜、ポートサイドの警察署近くで起きたデモ隊と警官隊との衝突で新たに1人が銃で撃たれて死亡した。

 このところの死者のほとんどはポートサイドで出ているが、首都カイロ(Cairo)では24日から警官隊とデモ隊が衝突している。その翌日の25日は、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領の失脚につながったデモが行われてからちょうど2年目だった。

 カイロでの衝突発生から5日目となった28日は、ムバラク政権打倒を象徴する場となったタハリール広場(Tahrir Square)に通じる地下道にかかる橋でデモ隊と警官隊が衝突。互いに投石し合い1人が死亡した。現場には催涙弾のガスが立ち込めた。目撃者によるとカイロでは終日、散発的な衝突が続いたという。また屋根の上からデモ隊に向けて発砲する人物の姿も目撃されている。

 前週末からの暴動でポートサイド、スエズ(Suez)、イスマイリア(Ismailia)の3県では約50人が死亡、数百人が負傷している。モルシ大統領は27日、3県に30日間の非常事態を宣言し夜間外出禁止令を出したが、3県では28日、外出が禁止される午後9時をすぎても通りは抗議行動を続ける人々であふれていたという。(c)AFP/Jailan Zayan