【1月25日 AFP】地球上の生物の大半が発見以前に絶滅してしまうという懸念は「杞憂」だとする国際研究が25日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 地球全体で1億種の生物が存在し、それらが10年ごとに5%の割合で絶滅しており、したがって多くの生物種が発見される前に絶滅してしまっているとする説について検証を試みたニュージーランド、オーストラリア、英国の合同研究チームは、この推計は未知の生物種の数を過大に推算していると結論付けた。

 研究チームによれば、既に約150万種の動植物が分類されており、統計モデリングが示した地球上の生物種の総数は1億種ではなく、500万種程度だった。また生物種の絶滅率も10年ごとに1%未満で、これまでの推計の5分の1程度だという。

 論文の主著者であるニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)のマーク・コステロ(Mark Costello)氏は、「われわれの発見は世界の生物多様性の保全という点で恐らく朗報だろう。地球上の生物種数を過大評価するのは自滅行為だ。生物多様性の発見や保全の試みを不可能に見せかけてしまうからだ」と述べている。

 コステロ氏は今回の研究によって、特に新種を特定する分類学者の数が増えているため、地球上の全生物種が今後50年以内に特定される可能性が示されたとも述べた。「新種を命名すればその存在が正式に認識されることになり、保全がはるかに容易になる」

 論文は、地球が現在「人類が引き起こした大量絶滅の段階」にあることを認めつつも、米カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)による「地球上の生物種の90%はまだ発見されておらず、未知の生物の多くが発見されないまま消滅している」とした2011年の研究など、他の研究より楽観的な結論に至っている。(c)AFP