【1月24日 AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は23日、リビアで昨年起きた米領事館襲撃事件に関する上院外交委員会の公聴会で、共和党側から出ている隠ぺい工作の疑いについて感情をあらわに否定した。

 昨年9月11日に起きた襲撃事件では、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関連のある武装集団がリビア東部ベンガジ(Benghazi)の米領事館を襲い、駐リビア米大使を含む米国人4人が殺害された。事件について米政権は当初、領事館前で起きていた抗議デモが襲撃に発展したとの見解を示していたことから、これが隠ぺい工作だったのではと疑う声が連邦議会内であがっていた。

 今回の公聴会で共和党議員からの度重なる追求を受けたクリントン長官は、怒りをあらわにしながらこの疑惑を事実無根であるとして否定した。

 クリントン長官の証言は昨年12月に行われる予定だったが、長官の体調悪化を理由に延期されていた。

 公聴会でのクリントン長官は、病み上がりの気配を一切見せることがなかったが、襲撃事件で犠牲となったJ・クリストファー・スティーブンス(J. Christopher Stevens)大使とショーン・スミス(Sean Smith)外交官の家族に訃報を知らせる電話をかけたことに言及した際には目を潤ませた。

 一方、共和党のジョン・マケイン(John McCain)上院議員はこうしたクリントン長官の説明は不十分だと厳しく批判。事件から4か月が経つ今も、米国民は「基本的な情報」さえ与えられていないと主張するとともに、事件の数日後にスーザン・ライス(Susan Rice)国連大使が行った発表で事件のきっかけは自然発生的な抗議行動だったとされた理由を追及した。

 クリントン長官は上院外交委員会に続き、下院外交委員会の公聴会でも証言を行い、領事館での不備については全責任を取ると繰り返し述べたほか、高い脅威にさらされている地域での警備体制を強化する対策を講じてきたことを強調。さらに、警備体制の強化を実現するための予算を割り当てる権限は最終的には連邦議会が持っていたと述べ、国務省に与えられた2012年の予算は、申請額と比べ約1割にあたる3億4000万ドル減額されていたことを指摘した。(c)AFP/Jo Biddle