【1月23日 AFP】現代のアジア人とアメリカ先住民が4万年前の中国にいた人々の子孫であることを、化石のDNA分析で突き止めたとする研究が、21日発表された。

 研究を発表したのはドイツのマックス・プランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)の研究チーム。研究チームは、中国・北京(Beijing)郊外の田園洞(Tianyuan Cave)で2003年に発掘された足の骨から核DNAとミトコンドリアDNAを取り出し、この足の持ち主の遺伝子データを再構築した。

 その結果、この足の持ち主は、現生人類の歴史にとって非常に興味深い時期に生きていたことが分かったという。

   「この個体は、重要な進化的移行期に生きていた。初期の現生人類が、ネアンデルタール人やデニソワ(Denisova)人といったその後絶滅した種に取って代わっている最中だった」と、論文主執筆者のSvante Paabo氏は説明する。

 骨の遺伝子分析の結果、現代のアジア人やアメリカ先住民と類似性があった。また、DNAにおけるネアンデルタール人とデニソワ人の要素が占める割合は、その地域の現生人類と比べてほとんど同じだった。その一方で、現代の欧州人の祖先にあたる人々からは、すでに遺伝子的に分岐していたという。

 研究チームは、この初期の現生人類が現代の人類と遺伝的につながっているのかどうかについてはまだ詳細は判明していないことに注意を喚起し、「さらなる分析が必要だ」と述べている。(c)AFP