【1月22日 AFP】中国政府は18日、同国の2012年の労働人口が数十年ぶりに前年と比べて減少したと発表したが、報告書には、年齢別人口構成の不均衡が抱える「時限爆弾」の及ぶ度合いについても詳細に書かれている。この問題を中国政府の最大の課題と呼ぶ専門家もいる。

 中国は1970年代末、人口増加を抑えるために「一人っ子政策」を導入した。だが政府の統計によると現在は国民の高齢化が進み、人びとは都市部に移住し、また男性の比率が高くなっている。

 中国国家統計局(National Bureau of Statistics)の統計によると、香港、マカオ、台湾を除外した中国の人口は2012年に670万人増え、13億5400万人となった。

 15~59歳の労働人口は345万人減少して9億3700万人になった一方、60歳以上人口はついに1億9400万人に上り、国として高齢者への福祉をいかにして提供して行くのかについて懸念がさらに高まっている。

 国家統計局の馬建堂(Ma Jiantang)局長は、労働人口が「少なくとも2030年までは着実に減少する」見通しだと語った。

■放置されてきた年齢別人口構成不均衡の問題

 権力掌握に対するいかなる挑戦も阻止するため、社会の安定を極めて重視する中国共産党にとって、貧富の差と年齢別人口構成の不均衡は大きな懸念事項だ。

 上海社会科学院(Shanghai Academy of Social Sciences)の研究者、梁中堂(Liang Zhongtang)氏は、家族計画政策のはらむ際どさのため、中国政府は、年齢別人口構成の不均衡に取り組むことに消極的だったと語る。

「実際、中国の労働人口の構造的な減少はずっと前に始まっていた」と、梁氏はAFPの取材に語った。

 梁氏によると、労働人口の大半は20~45歳の範囲に収まるが、その範囲の中で年齢の高い層が急速に増加している。「これは、彼らが転職や新たな就職口を探すことが非常に困難だということを意味し」、労働市場の柔軟性を減少させているという。

■高齢化と労働人口減少の問題は地方部で「深刻」

 高齢化と労働人口減少の問題は地方部で「深刻」と梁氏は語る。「地方部の社会的、経済的問題は深刻だが、主流(の政策立案者)たちの視界には入らない。彼ら(政策立案者)は、この階層の人びとを苦しめている問題については、ただ無視するのだ」

 中国の60歳以上人口が全体に占める割合は、1982年までわずか5%だったが、現在は14.3%に上る。また、中国の都市部の人口は2012年に2100万人増えて7億1200万人となった一方、地方部は1400万人減って6億4200万人になっている。(c)AFP/Neil Connor