【1月18日 AFP】アルジェリア南東部イナメナス(In Amenas)の天然ガス関連施設がイスラム武装勢力の襲撃を受け日本人を含む多数の外国人が人質となった事件で、アルジェリア政府の対応に各国からの批判が高まっている。

 アルジェリアのモハメド・サイード(Mohamed Said)情報相は、17日に国軍が実施した人質救出作戦で「多数の人質を救出した」と発表した。しかし、現地からの報道によると救出された600人近い人質の大半はアルジェリア人作業員で、41人いるとされる外国人の人質は数人だけだという。

 英国政府は18日、「テロ事件」はいまだ収束していないと発表。アルジェリア当局筋も、奪還したのは施設内の住居地区だけで、プラントは武装勢力が占拠したままだと認めている。アルジェリア治安関係筋はAFPの取材に、イナメナスのガス関連施設で武装勢力18人を殺害したが、施設内には武装勢力の「一団が立てこもっている」と語った。

 関係各国からは、作戦についてアルジェリア政府から事前通告がなかったことに批判が集中している。米国政府は、人質の安全確保を最優先とするようアルジェリア政府に強く要請。日本政府は作戦実施に遺憾の意を表明する一方、鈴木俊一(Shunichi Suzuki)外務副大臣が18日、駐日アルジェリア大使を外務省に呼んで説明を求めた。インドネシアを訪問中の安倍晋三(Shinzo Abe)首相も、外遊の予定を切り上げて帰国すると発表した。

■人質の安否は

 プラント建設を請け負う日揮(JGC Corporation)は、日本人社員3人とフィリピン人1人の無事を確認したが、日本人14人を含む74人の安否が不明だと発表した。

 先に1人の死亡が確認された英国人は、2人が解放されたと報じられたが、約20人の安否が未確認だ。ノルウェーの石油会社スタトイル(Statoil)は、ノルウェー人9人が救出されたが8人が不明と発表。フランス人は2人が救出されたが、他に2人の行方が分からなくなっている。

 武装勢力側は軍の攻撃で拘束していた人質のうち34人が死亡したと主張しているが、確認は取れていない。隣国モーリタニアのヌアクショット通信(ANI)によれば、武装勢力側は「アルジェリア軍が施設内に進攻すれば人質全員を殺害する」と言っているという。

■アルジェリア軍が人質の乗った車を攻撃か

 救出作戦の混乱の中で脱出に成功した北アイルランド(Northern Ireland)出身のスティーブン・マクフォール(Stephen McFaul)さんは、人質が乗っていた数台の車両に向けてアルジェリア軍が攻撃してきた話しているという。

 アイルランドのエイモン・ギルモア(Eamon Gilmore)外相は米CNNテレビに、アイルランド旅券でアルジェリアに入国していたマクフォールさんが脱出後に妻に語った話として、武装勢力が人質を移動させようと車に乗せていたときにアルジェリア軍の攻撃が始まったと語った。5台の車のうち4台が爆撃され、残る1台に乗っていたマクフォールさんは混乱に乗じて逃げたという。

 マクフォールさんはこれより先、北アイルランドにいる家族に、拘束中は首に爆発物を巻かれていたと話している。(c)AFP