【1月17日 AFP】2002年サッカーW杯日韓大会で活躍した元韓国代表の安貞桓(Ahn Jung-Hwan、アン・ジョンファン)氏が、イタリアのACペルージャ(AC Perugia)在籍時に元イタリア代表のマルコ・マテラッツィ(Marco Materazzi)から人種差別発言を受けていたことを明らかにした。

 15日に韓国のトーク番組に出演した安貞桓氏は、インタビューで当時チームの主将を務めていたマテラッツィが特にひどかったと証言している。

 安貞桓氏は「彼は突然ロッカールームに入るなり、みんながいる前で私がニンニク臭いと怒鳴りつけてきました。はじめは何を言われているのか理解できなかったけれど、韓国人の通訳は顔を高潮させ、訳すことさえためらっていました」と語った。

 また、元ミス・コリアで番組に一緒に出演した安貞桓氏の妻は、ひどく落ち込んだ夫はそれ以降ニンニクの多い食べ物は控えるようにしていたと証言している。

 マテラッツィが物議を醸すことはそれほど珍しいことではなく、イタリアが優勝した2006年のサッカーW杯ドイツ大会では、決勝で元フランス代表のジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)氏を挑発し、頭突きを食らっている。ジダン氏はこの行為で退場処分となった。

 2000年にペルージャに加入した安貞桓氏だが、その移籍は決して幸せなものではなく、終わり方も納得のいかないものだった。

 安貞桓氏はイタリアと対戦した2002年サッカーW杯の準々決勝で決勝点を決めたことが発端となり、当時ペルージャのオーナーを務めていたルチアーノ・ガウッチ(Luciano Gaucci)氏によって契約を解除された。

 当時ガウッチ氏は、「イタリアサッカーを台無しにした人物に給料を払うつもりはない」と発言したとされている。

 また安貞桓氏は、ペルージャ在籍時は常に「部外者」として扱われ、「私しか選択肢がない場合でもゴール前でボールが回ってくることはほとんどなかった」と話している。

 その後イタリアを去った安貞桓氏は、日本、フランス、ドイツ、韓国、中国でプレーし、2012年1月に現役を引退した。(c)AFP