【1月16日 AFP】ベトナムのホーチミン(Ho Chi Minh)近郊で2009年に発見されたカエルが新種だったことが分かったと、発見者のオーストラリア人研究者が15日語った。これほどまでに大都市の近くで発見されるのも、まれなケースだという。

 オーストラリアの両生類専門家ジョディ・ローリー(Jodi Rowley)氏は2009年、ホーチミン近くの森林でフィールド調査をしている際、このカエルを発見した。樹上に生息し、大きな水かきを広げて、木から木へと滑空して移動することができる。

 ローリー氏は当初、このカエルを別の近縁種だと思っていたが、その後に行ったベトナムの別の場所でのフィールド調査で、その近縁種とはかなり特徴が違うことに気づいたという。

   「新しい種の腹部は明るい白で、白目も白。一方、近縁種の方は腹部はレモンイエローで、白目も黄色だった」とローリー氏はAFPの取材に答えた。また、水かきの色、大腿部の色、体の大きさなども違うという。

 分子解析の結果、別の種であることが確認され、ローリー氏は新種のカエルを最近卵巣がんと診断された母親ヘレンさんの名前にちなみ、「Helen's Flying Frog(ヘレンの空飛ぶカエル、学名:Rhacophorus helenae)」と名付ける名誉を得た。

 科学者らは現在、この新種のカエルが絶滅の危機にあるかどうか研究を進めている。ローリー氏はこの新種がごく限られた場所でしか発見されていないことから、その生存に大きな危惧を抱いているという。

 ローリー氏の発見は米爬虫(はちゅう)両生類学専門誌「ジャーナル・オブ・ハペトロジー(Journal of Herpetology)」最新号に掲載された。(c)AFP