【1月10日 AFP】ロシアのスキーリゾートで今月3日、巨大な半透明のボールの中に人が入って斜面を転がるアトラクション「ゾービング(zorbing)」のボールがコースを外れて谷間に転落し、中に入っていた男性2人のうち1人が死亡、もう1人も重傷を負う事故が発生した。事故の一部始終は動画に撮影され、インターネット上に投稿されていた。

 事故は、北カフカス(North Caucasus)連邦管区のカラチャイ・チェルケス共和国にあるドンバイ(Dombai)スキー場で起きた。ロシア南部ピャチゴルスク(Pyatigorsk)在住のデニス・ブラコフ(Denis Burakov)さん(27)とウラジーミル・シチェルボフ(Vladimir Shcherbov)さん(33)が一緒に入ったボールはコースを外れ、3000メートル級のMussa-Achitaro山の山頂付近から谷間に向けて斜面を約1キロメートルにわたって転がり落ち、凍った湖の上で止まった。

 捜査当局によるとブラコフさんは脊椎、心臓、肺、脳を損傷し死亡。シチェルボフさんも脳振とうを起こした上、無数の切り傷や擦り傷を負い病院に搬送された。命に別条はないものの重傷という。

 ロシアメディアの報道によると、2人は1日から同スキー場に滞在し、スノーボードなどを楽しんでいたが、この日初めてゾービングに挑戦した。また、2人が利用したゾービングは当局の許可なく提供されていたという。

 地元捜査当局は刑事事件としてこの事故の捜査を開始。9日午後、安全性の確保を怠った疑いでサービス提供業者の男(25)の身柄を拘束し、事情を聴いているという。

 ゾービングはニュージーランドの企業ゾーブリミテッド(Zorb Ltd.)が1990年代に開発したアトラクションで、「ゾーブ(zorb)」と呼ばれるビニール製の巨大なボールの中に入り斜面を転がって遊ぶもの。これまで、死亡事故はほとんど起きていない。

 ゾーブ社は9日、声明を発表し、事故を起こしたゾーブは同社製ではなく、サービスが違法に提供されていた点を指摘。ゾーブに2人一緒に入ったり、岩や雪の多い山の斜面で遊んだりするのは「明らかに危険」であり「事故は100%避けられた」と述べた。

 ネットに公開された動画には、ブラコフさんとシチェルボフさんの入ったボールがコースを外れて転がっていくのを当初笑って眺めていた人々が、山の斜面を谷間に向かってどんどん転げ落ちていく様子を見て、「あの下には何があるんだ?」と運営業者に尋ねる音声が録音されている。その答えは「大惨事だ」というものだった。(c)AFP/Anna MALPAS