【1月7日 AFP】イランの保健衛生当局は6日、過去一年間に首都テヘラン(Tehran)で大気汚染が原因で死亡した人の数が4460人に上るとする報告書を発表した。

 テヘラン在住の800万人にとって大気汚染は常に悩みの種となっており、5日には大気汚染のために市の公的機関などが休日の扱いとなった。この1か月で2度目の措置となる。

 国営テレビで報告を発表したイラン保健相顧問のハッサン・アカジャニ(Hassan Aqajani)氏は、「最近では、心機能障害でテヘラン市内の病院を訪れる患者の数が約30%増えている」と述べた。

 テヘランの大気汚染の主な原因は、数珠つなぎの交通渋滞だ。市は二つの山脈に挟まれ、そこに排ガスが停滞するのだという。

 さらに低品質の国産ガソリンへの依存が高まっていることも汚染をさらに悪化させている一因だ。これは、イランの燃料輸入に対する欧米の制裁による副産物といえる。

 同市の大気質を監視する機関で責任者を務めるユセフ・ラシディ(Youssef Rashidi)氏は6日、イラン産ガソリンに含まれる発がん性物質の質量が国際的な基準値よりも高いと述べた。欧州連合(EU)の自動車排出ガス規制「ユーロ4(Euro 4)」では、ガソリン中の発がん物質の含有量は1%未満と定められているが、イラン産ガソリンではこれが2~3%ある。硫黄の含有量も同基準値の3倍に達するという。

 石油省の発表によると、同国のガソリン生産量は日産約6000万リットルで、これは国内消費量とほぼ同じ量にあたる。当局は欧州諸国が用いている「ユーロ4」や「ユーロ5」と同等基準の高品質ガソリンの生産を、2013年3月までに現在の日産900万リットルから約2500万リットルに増産すると約束している。(c)AFP