【1月1日 AFP】有人火星ミッションなどで宇宙に長期間滞在すると、宇宙線による脳の被ばく量が増えるためアルツハイマー病の進行が速まる可能性があるという論文が、31日に米科学誌プロスワン(PLoS ONE)で発表された。

 米航空宇宙局(NASA)の資金提供を受けて行われたこの研究では、マウスをさまざまな量の放射線に曝露させ、物体や場所の記憶能力に与える影響を調べた。

 すると、放射線を浴びたマウスは記憶能力を試すテストに失敗する確率がはるかに高く、神経の損傷が通常よりも早期に発生することが示唆された。

 論文の主執筆者、米ロチェスター大学メディカルセンター(University of Rochester Medical Center)のマイケル・オバニオン(Michael O'Banion)教授は「今回の研究で、火星ミッションでの被ばく量と同等の放射線を浴びると、認知能力に問題が生じたり、アルツハイマー病と関連がある脳の変化が速まったりする可能性があることが初めて示された」と述べ、「銀河宇宙線(GCR)は、未来の宇宙飛行士にとって大きな脅威になる」と指摘した。(c)AFP