【12月20日 MODE PRESS PLUS】2011年3月に起こった東日本大震災。どん底まで落ち込んだ日本全体の景気と市場が一定のレベルまで持ち直すのに、どれほどの時間がかかるのか、震災直後はだれにも予想できなかった。あれから1年9か月。多くの課題を残しているとはいえ、日本市場は着々ともとの姿を取り戻しつつある。震災前は忘れられていた、尊い教訓や新たな価値観を身につけながら――。

■成熟した日本市場と震災前と後の意識変化  

 日本の消費者は今、かつて日本人が欧米を真似ていた時代、そしてブランドで固める時代から脱し、本当に必要なもの、欲しいものを賢く選び買うようになった。日本人独自のスタイルと表現が確立され、日本市場は確実に成熟期に入った。そして震災を経て、さらに買い方に変化が現れてきた。

 イギリスの高級ブランド「アルフレッド ダンヒル(Alfred Dunhill)」でも震災後、日本の売上にその変化の兆しが店頭に現れはじめた。震災前にはなかった動きとして、カスタム(パターンオーダー)・ビスポーク(オーダーメイド)のスーツが前年に比べると倍以上の売上を達成しているのだ。

 既製服(レディトゥウェア)と比べても同等の価格で、質・デザインともに個人の満足度を満たしてくれるカスタム(パターンオーダー)・ビスポークスーツを、社会的にも仕事的にも地に足がつき始めて勢いが出始める30代後半(第2ベビーブーム世代)の男性客が買いに訪れている。

 物と価格のバランスと、それを見極める確かな価値観が、成熟した日本を象徴しているかのようだ。また「初期投資は必要だが、震災後の価値観の変化が、それまでは意識しなかった“良いものを長く使う”という考えにつながった結果ではないか」とアルフレッド ダンヒル社は分析する。

■新規客へのアプローチにイケメン投入  

 こうした意識の変化や市場の動きを踏まえて、各高級品ブランドは顧客へのアプローチをあの手この手で仕掛ける。先述したアルフレッド ダンヒルも先日、銀座本店で一風変わったイベントを実施したばかりだ。

 イケメン外国人モデル5人がオススメの最新コレクションを着こなし、さっそうと銀座の街を歩く。そして、そのまま銀座本店のショーウィンドーに入り、リアルマネキンとしてポージングするというライブ感あふれるものだ。あいにくの空模様にも関わらず、彼らが街を歩く姿に道行く人々は振り返り、足を止める。そして彼らが立ったショーウィンドーの前にはあっという間に人集りができた。なかには、携帯カメラを出してモデルと一緒に撮影、という風景もあった。

 アルフレッド ダンヒルによるこういった試みは、単なるブランドのプロモーションというだけでなく、銀座の街に明るい光を差し込み、さらには男性のおしゃれ意識の改革にも繋がる活動といえる。

■彼へのプレゼント選びには驚きも必要?

 イケメンモデルたちの登場がさらなる拍車をかけ、アルフレッド ダンヒル銀座本店の前を通りかかった女性たちが次から次へと店内へ吸い込まれていく。「せっかく買うなら良いものを選びたいし、贈る相手が驚いてくれるようなものを探している」そう語った30代の女性は、彼に贈るクリスマスプレゼントを選びに来ていた。  イングリッシュブルドックのモチーフがかわいらしい重厚感のあるマネークリップやキーホルダー、カフス。メカニックとレザーのコンビネーションが男性の心をくすぐるヘッドホンやチェス盤セット。ほかではなかなか見つけることができない、ひと味もふた味もスパイスが効いた品々を目の前に、ふらりと訪れた客も、知らぬ間にアルフレッド ダンヒルのもつ世界観に引き込まれてしまう。馬具専門製造卸売業から始まったブランドはいつしか、あらゆる角度から人々を引き付けるマルチな魅力を身につけていた。

■イケメンが再び登場!?

 クリスマス商戦真っただ中の今週22日、23日の2日間、再びイケメン5名が銀座の街に登場する。単にイケメン見たさで銀座へでかけるもよし、1年間がんばった自分やパートナーへの贈り物を探すもよし、すてきな2013年を迎えるためにも、身の回りのものから新しい風を入れてみるのもいいかもしれない。  なお、アルフレッド ダンヒル銀座本店(東京都中央区銀座2-6-7:電話・03-3562-1893)でのメンズモデル5名によるライブディスプレイは、12月22日(土)、23日(日)の13時、14時、15時、16時に実施予定。(c)MODE PRESS PLUS/MODE PRESS