【12月17日 AFP】批判の多い中国の「一人っ子政策」だが、恐らくこの夫婦ほど、公然とその政策に逆らった人たちはいないだろう。広東(Guangdong)省に住むある夫婦には男児4人、女児4人、合わせて8人の子がいる。うち5人は、2人の代理母に出産を依頼した子たちだ。

 中国メディアが14日に伝えたところによると、同省当局は「裕福な商人」とされるこの一家に、どれほど高額の罰金を課すべきか検討中だ。最終的には一家の年収の10倍になる可能性もあるという。一人っ子政策への違反者は通常は見逃されているが、この夫婦が例外とされたのは、子どもの数に加え、利用しようとした規則の抜け穴の数が多いためだとみられる。

 この夫婦はなかなか子供を授からなかったが、2010年の2か月のうちに8人の子供に恵まれ、2011年になって注目を集めた。13日に地元の省当局で再び対応が議論された。中国では代理出産が禁止されており、2人の代理母に5人の出産を依頼したことは違法行為にあたる。

 上海(Shanghai)の復旦大学(Fudan University)の人口問題の専門家、彭希哲(Peng Xizhe)氏によると、中国で代理出産は行われているが、当局に摘発されることもなく、刑罰を受けることもないという。彭氏は「(代理母による出産は)違法とされているが、それで裁判にかけられた人はいない」、「しかし、この夫婦は例外的なケースなので法的問題になった」と述べた。

 夫婦の間には他に、合法とされている人工授精で生まれた三つ子がいるが、この子たちは香港(Hong Kong)で出産された。中国本土での一人っ子政策の規制から逃れるとともに、子どもに香港での居住権を与えるための手段として裕福な中国人家庭がよく使う手法だ。

 中国の人口は13億5000万人に達し、すでに世界最多。この人口増加を抑制するために30年前から実施されているのが「一人っ子政策」だ。しかしながら、制度の抜け穴を利用する人たちがいる一方で、専門家の間ではもはや不必要な政策だという指摘もある。(c)AFP