【12月15日 AFP】スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)所属のリオネル・メッシ(Lionel Messi)が樹立したとされる年間最多得点記録に対し、ザンビア・サッカー協会(Football Association of ZambiaFAZ)が既にこれを上回る得点記録を自国選手が持っているとして行った異議申し立てについて、国際サッカー連盟(FIFA)は14日、同協会の主張の真偽を確認することは不可能だと発表した。

 同協会が「真の記録保持者」と主張している故ゴドフレイ・チタル(Godfrey Chitalu)氏の記録について、FIFA広報部はツイッター(Twitter)の公式アカウント(@fifamedia)で、「FIFAの公式記録は、FIFA公式大会での記録に限定されているので、(チタル氏の)この『記録』については確認ができません」と述べた。

 メッシは、9日に行われた試合で挙げた2得点で2012年の得点数を86ゴールに伸ばし、40年前にゲルト・ミュラー(Gerd Mueller)氏が記録した歴代年間最多得点を超えたことで、多くの人々からサッカー史上最も優れた選手として称えられた。

 しかし13日になり、ザンビアの伝説的プレーヤーであるチタル氏が1972年1月23日~12月10日にかけ、リーグ戦で49得点、代表戦で58得点、合計で107ゴールを挙げていたという主張が浮上。インターネットにはスーツ姿のチタル氏が、「1972年 ゴドフレイ・チタル 107ゴール」と書かれたサッカーボールを手に微笑んでいる白黒写真が出回った。

 この主張をめぐっては、FCバルセロナの宿敵チームであるレアル・マドリード(Real Madrid)のサポーターがメッシの功績を妬み、記録更新を阻むためにチタル氏の名前を挙げたとのではとの疑念の声も上がっている。

 当時の日刊紙や国の公文書からチタル氏の得点数を集計したザンビアの解説者とその協力者は、この記録をFIFAに承認させるため尽力すると述べていた。

 チタル氏は同国の代表監督を務めていた1993年、W杯予選に出場するためセネガルに向かう途中、搭乗した飛行機がガボン沖に墜落し、チームメンバー全員とともにこの世を去った。

 メッシの記録に関しては、カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のフラメンゴ(Flamengo)も、1979年にジーコ(Zico)氏が挙げた89ゴールが最多得点記録だと異議を唱えていた。

 一方、FIFAのアレックス・ストーン(Alex Stone)氏がAFPに宛てた電子メールのコメントによれば、209ある加盟団体から提供される公式記録が不完全なため、チタル氏、ジーコ氏、ミュラー氏、メッシがそれぞれ持つ記録はいずれも、FIFA側としては年間最多として認定できないという。例えば、FIFAが保持している公式国際大会の記録は、1930年に開催されたサッカーW杯ウルグアイ大会以降のものしか残っていない。

「ゴドフレイ・チタル氏の得点記録についてですが、ジーコ氏がもっと得点しているというブラジルからの主張もあれば、1961年にはペレ(Pele)氏が110ゴール挙げているというサントスFC(Santos FC)の記録もある。もしかすると、今は亡き選手が戦前に最多得点を挙げていたとの主張もあるかもしれません。しかし記録がすべて揃っていないので、これらの主張を検証することは不可能なのです」(ストーン氏)

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