【12月10日 AFP】オーストラリアの警察当局は10日、米アップル(Apple)のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の新機種に搭載されている地図アプリを使用しないよう、ドライバーらに警告を発した。地図の間違いによって死亡する危険があると指摘している。

 ビクトリア(Victoria)州警察によると、ここ数週間に同州内陸部の町ミルデューラ(Mildura)へ行こうとした車が「道を外れ」、国立公園の真ん中へナビゲートされてしまう事態が相次いだ。警察の声明は、「同国立公園内は飲料水の供給がなく、気温は摂氏46度にまで達することもある。人命に関わる事態になりかねず、警察では非常に懸念している」と述べている。

 豪当局がアイフォーンの地図アプリを検証したところ、メルボルン(Melbourne)の北西約500キロメートルにあるミルデューラの名が、実際の位置とは約70キロずれたマレー・サンセット国立公園(Murray Sunset National Park)の中心に記されていることが確認されたという。

 アイフォーンの地図に従った結果、国立公園内から救出されたドライバーはこの数週間で6人に上る。うち何人かは食料も水もない状態で最長24時間さまよった末に助け出された。電話の電波を受信するため危険な地域を長距離歩いた人もいた。

 地元警察は「日中の気温が(摂氏)45度になる日だったら、本当に死者が出ていたかもしれない。大変危険な事態であり、従ってサウスオーストラリア(South Australia)州からミルデューラに向かう時にはアイフォーンの地図アプリを使わないよう呼び掛けていきたい」としている。

 アップルは、これまでモバイル端末用基本ソフト「iOS」に米グーグル(Google)の地図アプリを採用していたが、今年9月にリリースした「iOS6」から自社製の地図アプリに置き換えた。しかし、この地図アプリをめぐっては数々の誤りが指摘され、アップルはユーザーに謝罪。改善されるまで他社の地図アプリを使用するよう呼び掛けている。(c)AFP