【12月10日 AFP】遠目には、さび付いた大きな金属の箱にしか見えないその「物体」だが、近くから観察すると、それがシリア反体制派による最新の成果であることが分かる──配備されるのを待つばかりの新型自作装甲車両、「シャーム2(Sham II)」である。

 古代シリア地方の名称にちなんで名づけられた「シャーム2」は、自動車のシャーシを基に作られた装甲車で、反体制派は「シリア国産100%」と公言している。

 設計したのは、シリア北西部アレッポ(Aleppo)県の反体制派グループ、アンサル(Al-Ansar)に属するマフムド・アブド(Mahmud Abud)氏。設計、組み立て、建造に1か月間かかったとされるこの装甲車の製造コストは、機関銃を除いて約1万ドル(約80万円)だという。

 車両全体は、長さ4メートル、幅2メートルの鉄板で覆われている。装甲の厚さは2.5センチメートルで、23ミリキャノン砲の砲撃に耐えることが可能というが、携行式ロケット弾(RPG)や戦車の砲撃には耐えられない。

 車両には内部から操作可能な7.62ミリ機関銃を装備し、前方に3台、後方に1台、銃に1台と計5台のカメラが設置されている。この映像を見ながら運転手が車両を操り、また機銃手は運転手のとなりで別のスクリーンを見ながらボタン付きのコントローラーを使って機関銃を操作する。

 AFPの撮影した写真には、車内でゆったりと座る少なくとも2人の乗員が写っている。

 シャーム2という名称が示しているように、この車両は前モデルの後継車両だ。前モデルは運転手に対する防護はあったものの、他の乗員は敵兵の銃撃に無防備だった。

 シャーム1(Sham I)はすでに実戦配備済み。シャーム2は近日、アレッポの戦闘に投入される予定だ。(c)AFP