【11月23日 AFP】中国衛生省の黄潔夫(Huang Jiefu)次官は、中国は2年以内に移植用の臓器の供給源として死刑囚に依存することをやめると述べた。国営中国新聞社(China News Service)が22日報じた。

 黄次官が表明した期限は、中国が過去に打ち出した同様の目標の中では最も早い。黄次官が死刑囚からの移植用臓器の摘出を完全にやめると述べたのかどうかは明らかになっていない。

 黄次官は、中国では自発的な臓器提供制度が始まっており、2年前に38か所の臓器センターが開設されて以来、1000件を超える臓器提供があったと述べた。

 黄次官の発言に先立ち、中国衛生省の上級研究員も、中国は来年から刑を執行された死刑囚を移植用臓器の供給源とすることを徐々にやめていくと発言していた。

■供給をはるかに上回る移植用臓器の需要

 中国では移植用臓器の需要は供給をはるかに上回り、慢性的なドナー(臓器提供者)不足から死刑囚が移植用臓器の主な供給源になる状況が長年にわたって続いていた。

 国際的な人権団体はかねてから、死刑囚やその家族の同意を得ることなく臓器を取り出しているとして中国当局を批判してきたが、中国政府はこれを否定している。2009年には、中国衛生省の報道官が死刑囚の人権は尊重されており、臓器を摘出する際には事前に書面で死刑囚の同意を取ることが必要になっていると発言したと中国のメディアで報じられた。

 各種の公式統計によると、中国で移植を必要とする患者は年間150万人に上ると推定されるが、実際に移植が行われるのは1万人程度にとどまっており、このことが強制的な臓器の提供や違法な臓器売買につながっている。中国では2007年に人間の臓器の売買が禁止された。

 米国に拠点を置く団体トゥイファ・ファウンデーション(Duihua Foundation)によると、2011年に中国では、2007年より約50%少ない約4000人が死刑を執行されたという。(c)AFP