【11月21日 AFP】コンゴ民主共和国(旧ザイール)で20日、反政府武装勢力「M23(3月23日運動)」が同国東部、北キブ(North Kivu)州の州都ゴマ(Goma)を制圧した。国連(UN)その他の機関が市民の殺害や誘拐、略奪などを伝えており、人道危機が懸念されている。

 M23はほとんど抵抗を受けずにゴマに入り、地元住民はM23の戦闘員らでいっぱいになった2台の車を歓声と称賛で迎えたという。M23の指導者スルタニ・マケンガ (Sultani Makenga)大佐もゴマに入ったという複数の目撃情報もある。

 M23のスポークスマンはゴマ市内にいる警官や政府軍の兵士らに対し、21日朝(現地時間)までに投降するよう、地元のラジオ局を通じて呼び掛けた。またM23はゴマ市と空港を掌握したと主張しているが、国連によれば、平和維持部隊が現在も空港を支配下に置き、市内のパトロールも続けているという。

 国連はゴマがある北キブ(North Kivu)州で政府軍を支援している約6700人の平和維持活動(PKO)部隊のうち、およそ1500人を即応部隊としてゴマに派遣している。M23がゴマを制圧したことについて国連は、市街戦になれば民間人が危険にさらされていたとして反撃しなかった部隊の対応を擁護した。

 一方、国連安全保障理事会(UN Security Council)は20日、M23の幹部2人に対する制裁措置を求めた決議案を全会一致で採択した。決議案はフランスが提出したもので、外国によるM23への支援の中止も求めている。隣国のルワンダがM23に武器や兵士を供給していると指摘されているが、ルワンダはこれを否定している。

 コンゴ民主共和国では反政府勢力を政府軍に統合した2009年の和平合意が破綻し、今年4月に反乱を起こしたツチ人の兵士たちがM23を結成した。ルワンダではツチ人は少数派だが、ルワンダの現政権はツチ人のポール・カガメ(Paul Kagame)大統領が率いている。1994年に起きたルワンダ大虐殺では、ツチ人約80万人が殺されたとみられている。(c)AFP/Phil Moore