【11月20日 AFP】コンゴ民主共和国(旧ザイール)では19日、東部の主要都市ゴマ(Goma)に迫る反政府武装勢力「M23(3月23日運動)」により政府軍が防戦を強いられる一方、M23を支援しているとされる隣国ルワンダは国境付近の自国領がコンゴ政府軍に攻撃されたと主張している。

 人道危機が危惧される中、ゴマ郊外では同日、新たな戦闘が発生した。現在ゴマ市との境界付近にはM23の勢力が結集しており、政府軍との距離はわずか1キロほどに狭まっている。

 目撃者によると、ゴマ市北部と北西部で戦闘があり、住民は南部やルワンダ国境に向けて非難を余儀なくされているという。

 コンゴ政府は、反政府勢力側が求めた直接交渉を一蹴。またM23についても「ルワンダがコンゴにおける自らの犯罪行為を隠すために用意された架空の部隊」と主張している。コンゴのランベール・メンデ(Lambert Mende)通信・メディア相はAFPの取材に対し「われわれは真の侵略者であるルワンダとの交渉を望む」と述べた。

 国連(UN)も隣国であるルワンダとウガンダがM23を支援していると非難しているが、両国はこれを否定している。

 鉱物資源が豊富なゴマ周辺地域は長年、紛争の火種となっており1996年来、コンゴの反政府勢力が活発に活動している。多くの武力衝突にはルワンダとウガンダが関与しているとされるが、関与は表立ったものだったり、そうでなかったりと一貫していない。

 M23は、反政府勢力を正規軍に統合した09年の平和交渉が失敗した同年4月、反乱兵士らにより結成された。

 ベルギーの旧植民地だったコンゴ民主共和国は、1997年まで独裁者モブツ・セセ・セコ(Mobutu Sese Seko)元大統領の下、ザイールとして知られた。コバルトや銅、ダイアモンドや金などの鉱物資源に恵まれているにもかかわらず、現在も世界の最貧国のままだ。98年以降、戦闘、病気、飢餓による死者が合計300万人、160万人が住む家のない状態に置かれている。

 東部の主要都市ゴマは平和時には、ヴィルンガ国立公園(Virunga National Park)近くに住む絶滅危惧種のマウンテンゴリラを目的とした観光客らの出発地だった。(c)AFP/Phil Moore