【11月18日 AFP】フランスで17日、同性婚と同性婚カップルの養子縁組の合法化法案に反対するデモが全国各地で行われ、合計10万人超が参加した。一部では、反対デモに対抗する同性婚賛成派のデモと警察が衝突する一幕もあった。

 首都パリ(Paris)市内のデモでは、ピンク色のスカーフやTシャツを着用した参加者らが、子ども2人と手をつなぐ男女のイラストが描かれた風船を手に「同性愛には反対しないが、(男女の)結婚を支持」などのスローガンが書かれたプラカードを掲げ、社会党政権の同法案に抗議して行進した。警察当局は参加者数を約7万人と発表したが、主催者側は20万人と主張している。

 その他各地でも、3万人余りが同様のデモを行った。南東部リヨン(Lyon)のデモは警察発表によると2万2000人規模で、デモに反対しに来た若者40人前後が身柄を拘束された。また、南西部トゥールーズ(Toulouse)の警察当局は、数千人規模のデモ隊に対抗して集結した同性婚賛成派数百人に催涙ガスを噴射したと発表した。南部マルセイユ(Marseille)で最大8千人が参加したデモ行進でも、同性婚賛成派との間でトラブルがあった。

 女性権利担当相を兼任するナジャット・バロー・ベルカセム(Najat Vallaud-Belkacem)政府報道官は、同性愛者が結婚し養子縁組する権利を擁護。14年前にフランス当局が同性愛カップルのシビル・ユニオンを支持した際も賛否両論が噴出したものの、それ以来は容認されていると指摘した。同報道官は、この件について仏議会は幅広く意見を聴取する意向で、今は議論が必要な時期だとコメントし、過剰反応や論争を戒めた。
 
 フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領の社会党政権は、法案をめぐってカトリック団体や右派野党の激しい批判に直面している。今回のデモ行進は、ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)がフランスのカトリック教会に対し、社会問題についての意見表明を促したことが背景にある。(c)AFP/Isabelle Tourne