【11月7日 AFP】6日の投開票で終わりを迎える米大統領選挙と上下両院選で、投票日までの選挙運動に注ぎ込まれた総額が60億ドル(約4820億円)に達し、最高記録を更新したことが分かった。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領と共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補、そして上下両院の候補らは、ハリウッドやヘッジファンドの富豪たちとのパーティーで集めた数十万ドル単位の寄付に加え、スマートフォン(多機能携帯電話)を通じて数十ドル単位の少額寄付を集めた。

■大統領選は減少、上下両院選で大幅増

 米監視団体「責任ある政治センター(Center for Responsive PoliticsCRP)」の推計によれば、オバマ、ロムニー両候補が投票日までに費やした金額は合わせて26億ドル(約2090億円)で、2008年の大統領選よりも少なかった。

 一方、上下両院議員選挙で費やされた資金は大幅に増え、特に民主党が過半数を失う恐れがある上院選では増加幅が大きかった。

 この結果、ネバダ(Nevada)、フロリダ(Florida)、オハイオ(Ohio)などの「スイングステーツ」と呼ばれる激戦州を中心に、大量の選挙広告がテレビやラジオ、電子メール、ツイッター(Twitter)などにあふれた。

■「スーパーPAC」の登場が資金増に影響

 今回の選挙資金の総額については、米最高裁が2010年1月に出した「シチズンズ・ユナイテッド(Citizens United)判決」で企業や労働組合などにも個人と同様の政治献金を行う権利が認められたことから、増加が確実視されていた。

 この判決を受け、各候補が外部に設立した「スーパーPAC(Super PAC)」と呼ばれる特別政治行動委員会は、10億ドル(約800億円)近くを今回の選挙に注ぎ込んだ。

■大統領候補の大口寄付トップ3

 ロムニー氏への大口寄付トップ3は、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)及びその従業員、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)と米金融大手が独占した。

 一方、オバマ氏への大口寄付トップ3は、カリフォルニア大学(University of California)、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)だった。

 また、10月のピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査によると、成人の13%がオバマ氏とロムニー氏のどちらかに寄付をしていた。また、そのうちの10%は携帯電話のアプリケーションやテキストメッセージを通じて寄付を行っていた。(c)AFP/Paul Handley