【11月6日 AFP】パキスタンで、「少年を見た」というだけの理由で、10代の娘に酸を浴びせて死なせた母親が、夫と共に逮捕された。母親は逮捕後、英国放送協会(BBC)の取材で、娘がそういう死に方をしたのは運命だったと語っている。

 前月29日、パキスタン側カシミール(Kashmir)地方で、15歳の少女が通りがかりの少年を見たことを両親にとがめられ、母親に酸を浴びせられた。少女は重度のやけどを負い、2日後に搬送先の病院で死亡した。両親は殺人容疑で逮捕された。

 警察の留置場からBBCの取材に応じた父親は、自分の娘には以前から、若い男たちを見てはいけないと警告していたと述べた。また自らも酸で腕にやけどを負った母親は、「娘は『わざと見たんじゃないの、もうしませんから』と許しを求めた。でも、その時には私はもう酸を投げていた。娘はこういう風に死ぬ運命だったのです」と語った。

 両親はその後も2日間、娘を病院に連れて行かなかった。娘が搬送された病院の医師によれば、娘は全身の約70%にも及ぶやけどを負っており、到着したときにはすでに危篤状態だったという。

 イスラム教国としては極めて保守的なパキスタンでは、いわゆる「名誉殺人」は珍しくない。人権活動家らによれば、昨年1年間で900人を超える女性が「家族に恥をもたらした」などの理由で殺されている。(c)AFP