【10月31日 AFP】米国で汚染したステロイド剤によるとみられる真菌性髄膜炎が拡大している問題で、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)は30日、死者数が28人になったと発表した。

 全米での感染者数は356人に上り、これに膝、肩、肘、股関節などの関節への感染者7人を合わせると、問題のステロイド剤を原因とする感染者は363人となる。

 ニューイングランド・コンパウンディング・センター(New England Compounding CenterNECC)が製造したステロイド剤を使用した医療機関がある23州のうち、19州で感染が報告されているほか、1万4000人に感染の恐れがあるという。

 ボストン(Boston)郊外にあるNECCの薬剤製造工場を立ち入り検査した保健当局によると、工場内は非常に不衛生な環境にあり、はびこったかびが裸眼でも見えるほどだったという。

 真菌性髄膜炎の問題が発生してから、米マサチューセッツ(Massachusetts)州に本社を置くNECCは自主的に操業を停止し、自社製品を全てリコール(自主回収)しているが、同州保健当局は24日、不衛生な環境下で違法に薬剤の大量生産が行われていたとする検査結果を報告するとともに、NECCと薬剤師3人ののライセンスを剥奪した。

 保健当局によると、NECCでは製造したステロイド剤の衛生テスト結果が判明するより前に出荷されていた例が少なくとも13件あり、最大で11日も前に出荷されたケースもあった。また、クリーンルーム(一定の清浄度が確保された部屋)に隣接するボイラーからの水漏れや無菌室前に敷かれたマットの汚れが確認されたほか、無菌室内で化合物を吸入しないよう作業員がかぶるフードには粉末が付着していたという。(c)AFP