【10月31日 AFP】ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州で、仏教徒のラカイン(Rakhine)人とイスラム教徒のロヒンギャ(Rohingya)人の衝突が再燃している問題で、支援にあたる国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は30日、周辺の避難民キャンプはすでに大幅に定員を超えており、食糧や水などの支援物資が不足しているほか、医療体制にも不備が生じていると明らかにした。

 今月21日に再び激化した衝突では、放火によって数十人が死亡。今月に入って双方の暴力が原因で自宅から避難した住民は少なくとも2万8000人に上り、UNHCRによれば「破壊と避難が拡大」している状況だ。

 イスラム教徒が大半を占めるラカイン州では数千人の住民がキャンプに流入しているが、今年6月の紛争で自宅を追われた7万5000人の避難民を受け入れていた避難キャンプはすでに定員をオーバーしている。

 UNHCRは現状について、「すでに過密状態の避難キャンプは、スペース、シェルターをはじめ水や食糧などの支援物資の面でも大幅に許容能力を超えている」と指摘。「この地域では食料品の価格が2倍に跳ね上がっている。負傷者や病人に対応する医師も足りない」と警告した。

 匿名を条件にAFPの取材に答えた政府関係者によると、30日に再び発生した衝突で警察官がラカイン人の住民1人を射殺し、最新の衝突による死者は89人に達した。暴力の終息に向けた当局の取り組みは難航している。(c)AFP