【10月27日 AFP】中国東部・浙江(Zhejiang)省温嶺(Wenling)市にある幼稚園で、女教師が泣き叫ぶ男の子の両耳をつかんで持ち上げている写真がインターネット上で広まり、中国国内で怒りの声が上がっている。温嶺市の警察はこれを受け、写真の女教師と撮影者の同僚の身柄を拘束した。

 男の子を持ち上げたとされているのは、名前を「ヤン・ヤンホン(Yan Yanhong)」とされる女教師。国営新華社(Xinhua)通信によると年齢は20歳で、幼稚園教諭の資格は持っていない。温嶺警察の声明によれば、当局により「犯罪行為」で25日に身柄を拘束された。写真を撮った同僚も7日間の勾留を受けたという。

 女教師は国営週刊誌「中国新聞週刊(China Newsweek)」に対し、「面白半分で」写真を撮ろうと思ったと話している。撮影を頼んだ同僚には最初やめるよう忠告されたが、「すぐ終わるから」と言って説得したという。

 この写真は24日に中国版ツイッター(Twitter)「新浪微博(Sina Weibo)」に投稿されるとすぐに多くの注目を集め、26日の時点での書き込み件数は400万件以上と、同日で2番目に話題のトピックとなっている。

 投稿では「怯え、痛がる子どもを持ち上げている自分を見て、嫌な気分にならないのか」「これは明らかに児童虐待だが、現行の刑法では犯罪にならず、この教師が罪に問われることはない」などと書き込まれている。

 新華社通信は、この事件の原因は保育施設への投資不足にあるとして非難している。「数年前から同様の不祥事が報告されており、件数は増加傾向にある。就学前教育に対する監督体制の不備や、公共投資の不足は明らかだ」という。

 中国では現在、児童福祉が大きな問題となっている。広東(Guangdong)省仏山(Foshan)では昨年、2歳女児のひき逃げ死亡事故が発生。防犯カメラの映像を調べた結果、直後に現場を少なくとも18人が通り過ぎていたが、誰も女児を助けようとしなかったことが判明している。(c)AFP