【10月25日 AFP】イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)前首相(76)は24日、来年4月に行われる予定の次の総選挙に首相候補としては出馬しない意向を表明した。自由国民(PDL)党首の座も後任者に譲るという。

 PDLは地方選で連敗した上に内部対立も起きていたことから、同党の支持者の間では総選挙を前にベルルスコーニ氏が党をまとめることに期待する声が上がっていた。

 政治をしばしばサッカーに例えるベルルスコーニ前首相は声明で、「立候補はしないが、ゴールを決められる現役の若手の側に立ち続けたい」とするとともに、自身が2009年に創設したPDLの次期党首は、党内投票を経て12月末までに指名されると述べた。

 サッカーチーム、ACミラン(AC Milan)のオーナーで、全国テレビ放送局3つや豪華な別荘をいくつも所有する大富豪のベルルスコーニ前首相は、1990年代に政界に進出した。当時汚職や不祥事が続いていたイタリア政界に新風を吹き込む存在として迎えられたが、後に発覚した自身の詐欺疑惑やセックススキャンダルでその名声は大きく傷つき、多くの支持者を失った。

 ベルルスコーニ首相は債務危機による金融市場のパニックの中、2011年11月に首相を辞任した。

 ベルルスコーニ前首相は20年にわたって法廷闘争を続けている。詐欺事件でいくつかの有罪判決を受け、別の詐欺事件で有罪になった人物との交遊も取り沙汰されたが、上訴審で無罪になるか、時効を迎えた。

 ベルルスコーニ前首相は現在、詐欺、贈収賄、買春の罪で起訴されている。「ハート泥棒のルビー(Ruby the Heart Stealer)」と呼ばれる当時17歳の売春婦を買春したとされたことは、前首相を没落に導いた一連のスキャンダルの1つだった。(c)AFP