【10月22日 MODE PRESS】世界19カ国で出版されているファッション誌「ヴォーグ(VOGUE)」はこの秋、新たな編集方針として、ファッション業界での美しいボディの理想イメージを、より健康的なものにすることを目的とした「ザ・ヘルス・イニシアティブ(THE Health Initiative)」プロジェクトを実施すると発表した。

 これまで、ファッション業界を中心に、モデルのやせすぎ問題や摂食障害など、世の女性たちの美意識と価値観がさまざまな形で世間を騒がせ、物議を醸してきたなか、ファッション業界に限らず、世の中全体にも多大な影響力を及ぼすメディアとして、VOGUEが行動に出た。メディアの責任として、そして長きにわたりファッションを支えてきた「VOGUE」という唯一無二のメディアが、美しさの定義と健康美について積極的に提唱することで、業界全体に変革がもたらされることが期待される。

 22日に東京・六本木で開催された記者会見では、渡辺三津子(Mitsuko Watanabe)VOGUE JAPAN編集長を筆頭に、今回のプロジェクトに賛同する各界からの支持者たちが登壇した。また、VOGUEをはじめ、世界的に活躍するフォトグラファーのレスリー・キー(Leslie KEE)、デザイナーの丸山敬太(Keita Maruyama)、モデルの冨永愛(Ai Tominaga)、2007年ミスユニバース世界大会優勝者の森理世(Riyo Mori)、モデルエー事務所ボンイマージュの代表取締役・馬淵哲矢(Tetsuya Mabuchi)、タレント・エッセイストの小島慶子(Keiko Kojima)、全7名による、パネルディスカッションも行われた。

 「ファッション業界としての意識変革と改革、これからの若い世代へ向けた大きな挑戦です。社会に対してファッションが出来ることを考え、メッセージを発信、実行していくのがVOGUEとしてやるべきこと。そして人は内側から生まれる美しさがとても重要だということ、一人一人の個別性のなかにこそ美しさがあることをもっと知って欲しい。より幸せに健康的な美を、(雑誌を)作る側、(雑誌を)見る側の女性すべてが、成熟することを目指します」と語るのは渡辺編集長。今後は、美しさの多様化を意識した誌面作りを積極的に取り組んでいく。

 モデルの冨永愛は、「モデルは、短命な仕事だと思われがちですが、継続可能な仕事。そこには、もちろん需要やマーケットがあってこそなので、業界全体の意識改革が重要です。美しさの定義を、あらためて考えるきっかけとなってもらえれば」と語る。過去にBMI値が基準値に足りず、ショーに出演できなかった経験も明かした。

 ミスユニバース世界大会優勝者の森は、「美の定義、美の基準は様々です。“健康美”とは、均等にバランス良く脂肪が付いた身体を差します。美しい人とは、アクティブでありポジティブなマインドを持っていること。それは、オーラとなって表れます。美しさに年齢は関係ない。自分なりの年の取り方で、人生を送れたら幸せですね」と語る。

 フォトグラファーのレスリー・キーは、「健康な身体、心の輝き、希望をもったマインド、この3つが女性には重要なこと。女性の理想像、ファッションの理想像を築いてきたVOGUEが、いまここであらためて意識を立て直すタイミング。これは、VOGUEにしかできないことです」と語る。

 またモデルの若年化についてデザイナーの丸山敬太は、「ファンタジーを作るファッションは必要。そのなかで、モデルとしての基準も必要なこと。その基準(サイズ)よりも、年端のいかない若いモデル達が増える現状で最も心配なのは、彼女たちの精神的。メンタルなケアをもっとやっていかなければいけないと思う」と語った。(c)MODE PRESS