【10月22日 AFP】シリアのアサド政権軍と反体制派の衝突が波及している隣国レバノンの首都ベイルート(Beirut)と第2の都市トリポリ(Tripoli)で、21日夜から22日朝にかけて、死傷者が出る衝突が発生した。

 シリアの反体制派の影響が濃いイスラム教スンニ派の牙城であるトリポリでは、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領が属するシーア派の分派、アラウィ派との激しい衝突が発生。3人が死亡、26人が負傷した。

 また首都ベイルートでは、レバノン軍部隊が武装集団を追ってスンニ派地区のTariq Jdidehを捜索する中、6人が負傷した。負傷者の内訳はレバノン人4人、シリア人とパレスチナ人が各1人。自動小銃や対戦車ロケット弾の音が聞こえたが、軍は周辺への報道陣の接近を禁じており、銃撃をめぐる状況は明らかになっていない。

 ベイルートでは19日、自動車爆弾で8人が死亡し、86人が負傷する事件が発生。犠牲者の中にレバノン治安機関の情報部門トップで、反シリア勢力と関わりのあったウィサム・ハッサン(Wissam al-Hassan)氏が含まれていたことから、レバノン国内のスンニ派の間ではシリアのアサド政権による犯行だと非難する声が巻き起こっていた。

 ハッサン氏は、2005年に起きたラフィク・ハリリ(Rafiq Hariri)元首相暗殺事件を含むレバノン国内での事件へのシリアの関与を追及していた。

 平行してレバノンでは、シーア派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)が大きな影響力を持つナジブ・ミカティ(Najib Mikati)政権の退陣を求める声も強まっている。またベイルートで衝突が起きたTariq Jdideh地区は、暗殺されたハリリ元首相一家の地元で、周辺では22日の衝突後、ハリリ親子支持者たちが武装し道路を封鎖するなどした。故ハリリ元首相の息子で野党党首のサード・ハリリ(Saad Hariri)元首相は現在、事実上の亡命生活を送っている。(c)AFP