【10月22日 AFP】どんな子どもでも入学したばかりの学校での初日は緊張するものだが、それが生徒数が4万人を超えるマンモススクールだとしたら、一体どんな気持ちになるだろう。インド北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の州都ラクノー(Lucknow)にあるシティ・モンテッソーリ・スクール(City Montessori SchoolCMS)は、ギネス世界記録(Guinness World Records)にも認定された世界で最も生徒数の多い学校だ。

 学校側によると、2010年度の全校生徒数は3万9437人だったが現在は4万5000人を超えている。教師は2500人、コンピューター3700台、教室の数は1000室だ。

 CMSは1959年、ジャグディシュ・ガンジー(Jagdish Gandhi)氏(75)と妻のバルティ(Bharti Gandhi)氏が300ルピー(現在の為替レートで約440円)の融資を受けて設立した。当初の生徒数はわずか5人だったが、現在はラクノー市内に20校を構えるまでに拡大した。

■優秀な学業成績

 CMSが有名なのは、生徒たちが試験で優秀な成績を修めていることと、大規模な交換留学制度だ。

 同校で学ぶ3歳から17歳までの生徒たちは皆、制服を着用する。1クラスの生徒数は約45人前後だ。公的な助成金は受けておらず、毎月の学費は低学年で1000ルピー(約1500円)、高学年が2500ルピー(約3700円)となっている。

 だが、全校生徒が一堂に会する機会はない。全生徒が集合できるほど広い場所がないためだ。

 これほど生徒数が多い学校の利点について、2年前からこの学校で学んでいる14歳の女子生徒は「校内のあちこちで、たくさんの友だちと知り合えること」と語る。ただ、あまりに生徒数が多いので、自分を知ってもらうための努力は必要だと付け加えた。「でなければ、単なる数千人の生徒の中の1人で終わってしまう。競争は激しいので、実社会に出る準備にはなります」

 一方、16歳の男子生徒は、大規模校のCMSで学ぶようになって社交的になれたと話した。「以前は引っ込み思案だったけど、自分に自信が持てるようになった。今はディベートのチームに所属している。全国大会にも出場するんだ」

■大きな学校の大きな目標

 CMSは世界平和と国際性を育む「ジャイジャガト(Jai Jagat、世界に勝利あれの意)」を教育理念にしている。掲げている目標も学校の規模と同じように大きい。

 生徒たちには学業で良い成績を収めることを求められる一方、スポーツはさほど重視されていない。それでも同校のクリケットチームの監督は選手を選抜するのも一苦労だと話す。「4万5000人の中から選手を選ぶのは大変です。学内で大会を開いて、クリケットの1チーム11人に入る最も優秀な子どもたちを選んでいます」

 2005年にCMSがギネス世界記録に認定された時の生徒数は2万9212人だった。それまでの世界記録は、フィリピン・マニラ(Manila)のリザル高等学校(Rizal High School)の生徒数1万9738人だった。

 CMSは米ニューヨーク(New York)駐在のインド政府国連(UN)代表部のプラカシュ・グプタ(Prakash Gupta)1等書記官や、米ハーバード大学(Harvard University)の研究者、医学や科学の分野をリードする人材を多数輩出している。(c)AFP/Sagarika Dubey