【10月12日 AFP】国際労働機関(ILO)は12日、全世界の失業者数が、世界的な経済危機が始まる前と比べて約3000万人増えたことを明らかにした。緊縮政策の是非が議論されている欧州連合(EU)加盟国のなかには、スペインやギリシャなど失業率が25%に達した国もある。
 
 ILOのガイ・ライダー(Guy Ryder)事務局長は、2億人を越える世界の失業者の約3分の1は25歳以下の若者だと述べ、世界の労働人口が毎年4000万人ずつ増加していくなかで、仕事につけない人の数は今後も増えるだろうと予測した。

 さらにライダー事務局長は、仕事があるにもかかわらず、約9億人が自分や家族を養うに足る収入が得られていないと指摘。もしも経済危機以前に見られた貧困撲滅の潮流が続いていたならば、この数字は約半分以下になっていただろうと述べたうえで、緊縮政策が失業率に与える影響は、これまで考えられていたよりも、さらに厳しいものになるとの見方を示した。

 一方、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会で東京を訪れているクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事は11日、急激に緊縮政策へとかじを切ることは厳しい結果をもたらすことになると警告。財政危機に苦しむギリシャなどの国が財政再建プログラムを実施するためには、少なくとも2年ほどの時間的猶予が必要だと語っている。(c)AFP