【10月10日 AFP】人工飼育されたツルを野生に戻すためとしてロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(60)が前月行ったハンググライダーによる誘導飛行が、全くの失敗に終わったことが10日、明らかになった。プーチン大統領が先導した6羽のソデグロヅルは全て、航空機で保護区に戻されたという。

 プーチン大統領は9月、絶滅の危機に瀕しているソデグロヅル6羽に越冬の渡りを促すため、シベリア北西部ヤマル半島(Yamal peninsula)上空をモーター付きハンググライダーで飛行した。白い飛行服を着たプーチン大統領がツルたちと飛ぶ姿はそれだけでも一部で笑いものになっていたが、さらに追い討ちをかけるように、インタファクス通信(Intafax)は10日、ロシア連邦天然資源監督庁(Federal Service for Natural Resources OversightRosprirodnadzor)筋の情報として「ツルたちは9日夜に保護区に戻された」と伝えた。

 報道によると、ソデグロヅルたちは野生のクロヅルの群れとともに南下することが期待されていた。ところが、クロヅルたちが前週、初雪が降った直後に南下を始めたのに対し、ソデグロヅルたちは飛び立つ様子を見せなかったという。結局、6羽のソデグロヅルは乗客よろしく航空機に乗せられ、ロシア中央部のリャザン(Ryazan)にある野生動物保護区に戻されたという。

 プーチン大統領は誘導飛行の数日後、自身に批判的な野党勢力について「生まれながらの指導者に従う準備ができていない」などとして、「渡りを拒むのは弱いツルだけだ」などとやゆしていた。(c)AFP