【10月10日 AFP】自作の道具を使って餌を取ることで知られるカレドニアガラス(Corvus moneduloides)は、どうやってこの芸当をやってのけるのか。その謎を解明したとする論文を、英バーミンガム大学(University of Birmingham)率いる生物学チームが9日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した。

 南太平洋にあるフランスの海外地域ニューカレドニア(New Caledonia)に生息するカレドニアガラスは、鳥類界のスターだ。くちばしで枝や葉から複雑な道具を作り出し、倒木の中や草木の隙間に潜む昆虫などの餌を釣り上げる特性をもつ。

 バーミンガム大のジョリオン・トロシャンコ(Jolyon Troscianko)氏率いる研究チームは、捕獲した野生のカレドニアガラス3羽に餌の入ったチューブを与え、検眼鏡カメラで視野と目の動きを観察した。

 すると、カレドニアガラスの目は顔の側面ではなく前面に向いており、両眼の視野が重なる範囲が非常に広いことが分かった。両眼視野が広いと、近くにある物体との距離を脳が測りやすくなる。カレドニアガラスの両眼視野は61.5度で、道具を使わない他の種類のカラスより23.9度も広かった。

 さらに、くちばしも他の種と比べて非常に真っすぐで、このため道具を作りやすく、また作った道具をしっかりつかんで目標の場所に先端を差し込めることも明らかになった。

 論文は、認知能力が他のカラスとほぼ同じなのにカレドニアガラスが他の種にはできない高度な道具の使い方をするのは、こうした特徴のおかげだと結論付けている。

 霊長類以外で道具を使う動物としては、他の鳥類やイルカ、ゾウがいるが、論文によればカレドニアガラスは身体的特徴が道具使用に非常に特化している点で比類がないという。(c)AFP