【10月7日 AFP】あらゆる細胞に分化することが可能な人工多能性幹細胞(iPS細胞)から卵子を作り、さらにそれらの卵子を体外受精させてマウスを誕生させることに京都大学(Kyoto University)の研究チームが成功した。4日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。ヒトへの応用には遠いが、不妊症の原因解明につながると期待される。

 京大の斎藤通紀(Michinori Saito)教授と林克彦(Katsuhiko Hayashi)准教授らの研究チームは、メスのマウスの細胞から作ったiPS細胞を培養し、精子や卵子に成長する「始原生殖細胞」を作製した。これを卵巣のもとになる細胞と混ぜて培養し、その後、マウスの卵巣に移植して卵子を作り出した。

 さらにこれらの卵子を成熟させた後、試験管内で体外受精させ、別の「代理母マウス」の卵管に移植したところ健康なマウスが生まれた。

 iPS細胞で作った卵子から生まれたこのマウスたちも、成育後に通常の生殖活動で子どもを生むことができた。

 斎藤教授は今回の成果について、卵子ができるメカニズムのさらなる理解と、不妊症の原因究明に役立つことが期待されると語った。

 同研究チームは前年、iPS細胞から精子を作ることに成功している。(c)AFP