【10月6日 AFP】ロシア北部に住む11歳の少年が散歩中に偶然、非常に保存状態の良い巨大なマンモスの死骸を発見した。科学者らは、1901年以降で最も貴重な成体マンモスとの見解を示している。

 発見者はタイミル(Taimyr)半島に住む遊牧民の少年、エフゲニー・サリンデル(Yevgeny Salinder)君(11)。8月下旬にエニセイ(Yenisei)川の土手を散歩していたところ、不快な臭いに気付き、地面から突き出しているマンモスのかかとを見つけた。

 連絡を受けて発見現場へと急いだサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)の動物学博物館(Zoological Museum)のアレクセイ・ティホノフ(Alexei Tikhonov)館長によれば、これほど保存状態の良いマンモスの成体は100年以上見つかっていないという。「今のところ、世紀のマンモスと呼んでいいでしょう」(ティホノフ館長)

 ティホノフ館長らは発見現場近くにある研究センターの職員らと協力し、5日間かけてマンモスを掘り出した。

 少年の愛称にちなみ「ジェーニャ(Zhenya)」と名付けられたこのマンモスは、約3万年前に15~16歳で死んだとみられている。死骸には長さ1.5メートルの牙、眼球、耳がはっきりと分かる形で残っており、長さ1メートルの生殖器も付いていたことから雄であることが分かった。骨格はほぼ無傷で保存されており、心臓も保存されている可能性があるという。

 重さ1トン近くに達する死骸は北部デュジンカ(Dudinka)に移送された。今後、サンクトペテルブルクとモスクワ(Moscow)に移され、詳しい調査が行われる。

 ロシア北部は通常、永久凍土で覆われているが、近年進む地球温暖化の影響により凍土が溶け、多くのマンモスが発見されるようになった。(c)AFP