【10月4日 AFP】沖縄に生息するカタツムリが自らしっぽを切って天敵から逃れる「自切行動」をすることを確認したという論文が3日、英学術専門誌「英王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society)」電子版に掲載された。

 この論文を発表したのは日本学術振興会(Japan Society for the Promotion of Science)海外特別研究員でオランダ・ライデン(Leiden)の研究機関Naturalis Biodiversity Center所属の細将貴(Masaki Hoso)氏。

 自切行動はタコ、ウミウシ、ナメクジなどでは知られていたが、カタツムリで確認されたのは初めて。

 細氏のブログによると、八重山諸島の石垣島と西表島に生息するカタツムリ、イッシキマイマイを天敵のイワサキセダカヘビに与えたところ、イッシキマイマイはしばしば自らしっぽを切って自分の殻の中に隠れ、セダカヘビから逃れた。しっぽが切れた部分は数週間で再生したという。

 比較実験として、細氏はイワサキセダカヘビがいない与那国島のカタツムリをイワサキセダカヘビと一緒にした。すると、これらのカタツムリはしっぽを切って逃げることなく、簡単にヘビに食べられてしまった。

 イッシキマイマイの自切行動は、殻が完成する前の成長過程で多く見られることも分かった。イッシキマイマイは成長すると、殻の中に入れば外敵から身を守れるような形に殻口部が変形する。

 AFPの電子メール取材に応じた細氏は、これまで知られていなかった生物の驚くような事実を発見して人々に伝えられることは嬉しいし光栄だと述べた。細氏によると、トカゲのしっぽは切れやすい構造になっているがイッシキマイマイはそのような構造になっていないため、イッシキマイマイの自切の仕組みを解明することが今後の課題だという。

 イワサキセダカヘビのあごは左右非対称で、右側の方が歯の数が多い。これは、上から見て殻が時計回り(右巻き)であることが多いイッシキマイマイを食べるのに適している。(c)AFP/Shigemi Sato