【9月21日 AFP】毒ヘビには自身の毒を無害なタンパク質に変える機能が備わっている――19日の科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載の研究論文で英豪合同チームが発表した。研究結果は、がん治療での新薬開発など大きな可能性を秘めているという。

 研究では毒成分と組織の遺伝子配列に着目し、細胞で作られた毒成分が毒性のないタンパク質に戻ることが判明したという。論文主筆者の1人、オーストラリア国立大学(Australian National University)のガビン・ハトリー(Gavin Huttley)氏によると、このことを示した実験は初めて。

 人間の多くの疾患と同様に、ヘビの毒も生理的経路を攻撃する。つまり毒の分子が変様する仕組みを解明できれば、疾患治療を目的とした新薬開発にもつながるとハトリー氏は言う。

 ヘビの毒腺について、ハトリー氏は「小さな製薬会社のようなもの。膨大な数の実験を絶え間なく続けている」と説明。また実験結果は、毒性の分子が組織にとって有益な形態に変化することの「原理の証明」であり、薬剤分野における可能性も広がるだろうと述べた。(c)AFP