【9月14日 AFP】米国で製作された映画がイスラム教を侮辱していると抗議するデモ隊が13日、首都サヌア(Sanaa)の米大使館を襲撃した事件で、警察側がデモ隊に発砲し、デモに参加していた4人が死亡し、この他に34人が負傷した。負傷者のうち8人は重傷だという。イエメンの治安当局者が明らかにした。

 最初の襲撃で米大使館の敷地内に侵入したデモ隊は、治安部隊により排除され、大使館の門から100メートルほど離れた場所まで後退した。その後、「おお、アラーの預言者ムハンマド」と繰り返し叫びながら再び突撃を試みたところ、警官が発砲した。

 イエメンのアブドラボ・マンスール・ハディ(Abdrabuh Mansur Hadi)大統領は、「暴徒」が取った行動について、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と米国民に陳謝するとともに、当局に捜査を命じた。

 ハディ大統領は「襲撃に関わったのは、ユダヤ主義者、特にイスラム教預言者を侮辱する映画を製作した人々による大規模な企てを意識していない暴徒だ」と述べた。

 一部のデモ参加者は、警備員のいない門から米大使館の敷地内に侵入したデモ隊の一部が車3台に火を放ったのを見たと話した。

 米国で製作された低予算映画に抗議するデモは中東・北アフリカ地域やアジアに拡大している。

 11日にはリビア東部のベンガジ(Benghazi)にある米領事館が襲撃され大使を含む4人が死亡した。エジプトの首都カイロ(Cairo)ではデモ参加者が米大使館の星条旗を引きずり降ろし、代わりに黒いイスラムの旗を掲げた。群衆によるカイロの米大使館の包囲は3日間続いている。

 抗議行動はバングラデシュ、イラン、イラク、イスラエル、ガザ地区(Gaza Strip)、ヨルダン、クウェート、スーダン、チュニジアでも行われた。(c)AFP