【9月13日 AFP】リビア東部ベンガジ(Benghazi)で起きた米領事館襲撃事件で、J・クリストファー・スティーブンス(J. Christopher Stevens)駐リビア米国大使が死亡した際、炎上する領事館内では何が起きていたのか。

 匿名で取材に応じた米当局者によれば、「正体不明のリビア人過激派グループ」による襲撃が始まったのは、現地時間11日午後10時(日本時間12日午前5時)ごろ。武装グループは15分もたたずに敷地内に侵入し、本館に銃撃を開始するとともに放火した。リビア人警備員や領事館の保安職員が応戦したという。

 当時、本館内にはスティーブンス大使のほか保安職員1人と情報管理担当のショーン・スミス(Sean Smith)外交官の3人がいたが、建物内に充満した煙にまかれて離れ離れになってしまった。このうち本館からの脱出に成功したのは保安職員のみで、外でもう1人の保安職員と合流し、取り残された2人の救出に戻ったという。

 2人は建物内でスミス氏の遺体を発見したが、スティーブンス大使を見つけることはできず、煙と激しい銃撃のためやむなく再び本館外に出た。

 領事館保安要員らは本館の奪還を試みたが、反撃に遭い撤退。午後11時20分ごろ、2回目の突入で奪還に成功した。この間、他の職員は全員別館に避難していたが、この別館も翌12日午前0時ごろから攻撃を受け、職員2人が死亡、2人が負傷している。午前2時ごろになって、リビア治安部隊の救援を得た保安要員らが敷地内の統制を回復した。

 スティーブンス大使は数時間続いた攻防の間に本館外部に脱出したか救出され、ベンガジ市内の病院へと運ばれたとみられるが、時間など詳細は分かっていない。事態が収束するまで米当局側では大使を取り巻く状況については何の情報も得られていなかったという。大使の遺体はベンガジの空港で米国側に引き渡された。

 事態を受け、米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始している。大使の遺体は死因特定のため検死にかけられる予定だ。(c)AFP