【9月11日 AFP】今年2月に辞任したクリスチャン・ウルフ(Christian Wulff)独前大統領の妻、ベティーナ・ウルフ(Bettina Wulff)さん(38)が12日に発売予定の著作「Jenseits des Protokolls(外交儀礼を越えて)」の中で、過去にエスコートとして働いていたことがあるという疑惑を事実無根であると否定している。

「数々の噂」と題された章では、ベティーナさんが過去に「レディー・ビクトリア(Lady Viktoria)」の名でコールガールとして働いていたという噂について触れられている。ベティーナさんはこの章の中で、自分は強い女性だと思っているが、この噂には何度も涙を流したと明かしている。「エスコートとして働いたことは1度もありません。本当にばかげた噂です」。この本は一部の書店では10日から販売されている。

 報道によれば、ベティーナさんは米グーグル(Google)を相手取り、検索エンジンにベティーナさんの名前を入力した際に「エスコート」や「売春 過去」といった言葉が自動的に補完されないように求める訴訟を起こしている。

 これに対しグーグル側は「裁判所の判断に委ねる」としつつ、過去にドイツではグーグルに対する似たような訴訟が5件起きているが、裁判所はいずれの訴えも退けていることを指摘した。同社の広報担当によれば、自動補完される単語はグーグル側が選ぶのではなく、ユーザーによる検索頻度に従って自動的に選ばれるという。

 民間企業で広報部門の重役を務めていたベティーナさんは2008年、後に史上最年少のドイツ大統領となるクリスチャン・ウルフ氏と結婚し、現在2人の間には幼い息子がいる。大統領となったウルフ氏は、汚職スキャンダルによって就任から2年も経たない今年2月に辞任した。

 冒頭の書籍でも触れられている一連の政治スキャンダルは、ウルフ氏がニーダーザクセン(Lower Saxony)州の首相だった頃、自宅を購入する際に裕福な知人の妻から優遇金利で融資を受けたことを申告していなかったとの疑惑が報道されたことをきっかけに、瞬く間に発展した。(c)AFP