【9月7日 AFP】フランス皇帝ナポレオン(Napoleon)の遠征軍と帝政ロシア軍が激戦を繰り広げた1812年の「ボロジノの戦い」から今年で200年となることを記念し、モスクワ(Moscow)西方のボロジノ(Borodino)で2日、戦いを再現するイベントが行われた。

 当時の軍服や刀剣などを用いて戦いを忠実に再現したイベントには、ロシア政府が110万ドル(約8700万円)を出資し、フランス側1550人、ロシア側1450人の兵士を演じる計3000人が参加した。ジスカール・デスタン(Giscard d'Estaing)仏元大統領とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領も「観戦」に訪れた。これに先立ち、プーチン大統領の補佐官は「ボロジノの戦い」再現イベントを「若者の愛国教育」を広めるために活用したいと述べた。

 1812年9月7日の「ボロジノの戦い」は、合戦には勝利しておきながら、戦争には負けた戦将の際立った例だ。

 ボロジノでは2万人のナポレオン軍が激戦の末に、兵力が2倍以上の4万5000人だった露軍を破った。しかし痛手が大きかったため、ナポレオンはモスクワに進軍を開始する前に回復期間を置くことにした。この時にナポレオンはおそらく、敵方のクトゥーゾフ将軍が戦闘の翌日に一時撤退したことを知らなかったとされる。この休息の決断が、ナポレオンにとって致命的な誤算だった。

 帝政ロシア軍は兵力の半分を失っていたが、近くの村落で態勢を立て直す時間ができ、戦術を練った。ナポレオン軍が入城したモスクワは、市民は脱出しもぬけの殻で、そこに焦土戦術が追い打ちをかけた。士気を失ったナポレオン軍は退却を余儀なくされた。(c)AFP/Kirill Kudryavtsev