【9月6日 AFP】1977年9月5日、宇宙に向けたメッセージと共に打ち上げられた探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」――打ち上げから35年が経過した今、同機は太陽系を出る直前のところまで来ているという。

 地球から180億キロメートル以上の距離まで到達しているボイジャー1号。その少し前に打ち上げられた姉妹機「ボイジャー2号(Voyager 2)」と共に木星、土星、天王星、海王星といった惑星を巡る壮大な旅を続けてきた。

 一連の惑星探査を終えた2機には、太陽系の縁、さらにその先の前人未到の空間まで旅をするという新たなミッションが与えられた。

 打ち上げから35年が経過した現在、太陽が小さな点にしか見えないほどの距離に到達したボイジャー両機。実は秒速17キロ以上のスピードで太陽系の外へと向けて進む2機には、やがて遭遇するかもしれない地球外生命体に向けたメッセージが携えられているという。

 両機には、金メッキが施された直径30センチの銅製のレコードと再生用のカートリッジおよび針が積まれている。レコードには当時のジミー・カーター(Jimmy Carter)米大統領とクルト・ワルトハイム(Kurt Waldheim)国連(UN)事務総長からのメッセージが記録されているという。

 レコードにはまた、地球上の生物115種を描いた画像がアナログ形式で保存されているほか、さまざまな音声やモーツァルト(Mozart)からチャック・ベリー(Chuck Berry)にいたるまで様々なジャンルの楽曲が少しづつ収録されている。さらに、6000年前の古代メソポタミアで話されていた「アッカド語」や中国の「呉語」を含む全55言語での挨拶も録音されている。

 ボイジャー1号が太陽系外へ到達する時期について、米航空宇宙局(NASA)関係者は「そう長くはかからないだろう」と述べるも、「数日後かもしれないし、数か月後かもしれない。数年後ということもある」と続けた。

 太陽エネルギーが届かないため、ボイジャーの電力は長寿命の原子力電池によってまかなわれている。2025年にはそれも尽き、両機からの通信は永遠に途絶えることとなる。だが両機のミッションはそれ以降も続く。両機の向かう先にはどんな運命が待ち受けているだろうか。(c)AFP/Richard Ingham