【9月4日 AFP】立法会(議会)選挙を控えた香港で、中国への愛国心を養うための「国民教育科」の導入に反対する香港の学生と教職員らが、市行政庁舎前で6日目となる抗議行動を行っている。

 市行政庁舎前に集まったデモ参加者は、「国民教育」を中国共産党のプロパガンダによる子どもたちの洗脳と批判し、これを支持した政党には投票しないと声を挙げている。

 デモは8月30日に始まった。デモ参加者の1人、大学2年生のCheung Nga-lamさんは「今後何世代にもわたる子どもの教育に影響を及ぼしかねない問題だからこそ、国民教育は重要な問題だと感じている」と語り、「立法会の新議員はこの問題に大きな影響力を持つことになる」と続けた。

 香港立法会(定数70)選挙は9日に投票が行われ、全70議席が改選される。とはいえ、梁振英(Leung Chun-ying)行政長官の指名した親中派の閣僚らが権力の座にあり続けることは変わらない。

 梁長官はこれまでデモ隊からの対話の呼び掛けを無視し、「国民教育」導入中止を拒否してきた。梁長官は、「国民教育反対派と対話をする用意はあるが、対話の前提が、中止か導入か(の2択)であってはならない」と記者団に語っている。

「国民教育科」は今週から各学校が任意に導入することが可能で、2016年からは全学校に義務化される。大半の学校は、年内の導入を見送り、この学科における教育方法の把握に努める方針だ。

 香港行政当局は、香港で反中国感情が高まりをみせる中、国家への帰属意識とアイデンティティの醸成にこのカリキュラムが重要と位置づけている。

 だが、導入反対派は、「国民教育」が一党支配の長所を称賛する一方で、1989年の民主化運動で起きた天安門(Tiananmen)事件や、故毛沢東(Mao Zedong)国家主席の文化大革命(Cultural Revolution)による国民の飢えと超法規的な殺りくなどの出来事に対しては言い逃れをしていると非難している。(c)AFP