【8月30日 AFP】ウクライナ最高裁は29日、職権乱用罪で禁錮刑判決を受けて服役中のユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)前首相(51)による上訴を棄却した。最高裁は、2009年にロシアと天然ガス売買契約が交わされた当時、前首相には、契約締結の権限はなかったとの判断を示した。この裁判を政治的動機によるものとみている西側諸国はウクライナへの圧力を強めている。

 最高裁前には2004年の「オレンジ革命(Orange Revolution)」を率いたティモシェンコ前首相の支持者約100人が集まった。

 前首相の支持者から「この恥知らず!」と、やじが飛ぶなか、判事は「上訴の根拠は見当たらない」と述べた。最高裁は、政治的迫害を受けたとの前首相の訴えに根拠はないとの判断を示すとともに、先に出された禁錮7年と罰金1億9000万ドル(約150億円)の判決の正当性も認めた。

 傍聴席には、ポーランドのアレクサンデル・クワシニエフスキ(Aleksander Kwasniewski)前大統領ら欧州連合(EU)の要人の姿もあった。EUは「非常に失望している」との声明を発表。審理は国際的な基準を満たしていなかったと指摘した。

 棄却により、ティモシェンコ前首相のウクライナにおける法的対抗措置は尽きた。弁護人は記者団に対し「来週末までに、フランス・ストラスブール(Strasbourg)の欧州人権裁判所(European Court of Human RightsECHR)に申し立てる」と語った。(c)AFP/Zoya Zhminko