【8月29日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は28日、火星から地球に向けた初の音楽放送を行った。若い世代に科学への関心を持ってもらうのが目的だという。

 使われた曲は米国のグラミー(Grammy)賞受賞ミュージシャン、ウィル・アイ・アム(will.i.am)さんが作った「リーチ・フォー・ザ・スターズ(Reach for the Stars)」。今月6日に火星着陸に成功した探査車「キュリオシティー(Curiosity)」に向けて送信された後、米カリフォルニア(California)州パサデナ(Pasadena)のジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)に再送信された。

 NASA職員らは火星からの音楽を聞きながら手拍子を取り、腕を宙に上げ、リズムに乗って笑顔で体を動かすなどして、総工費25億ドル(約2000億円)の探査車が搭載する最先端の通信機器のやや非科学的な利用法を楽しんだ。

 この曲には現代的な電子音ではなく、フレンチホルンなどを含む40人編成のオーケストラが用いられた。ヒップホップやダンスのビートではなくオーケストラを使った理由についてウィル・アイ・アムさんは、「人間同士のコラボレーションや、時代や文化を越えて共有できるものを表現したかった」と話している。

 今回のイベントに参加した若者の中には、ウィル・アイ・アムさんが生まれ育ったロサンゼルス(Los Angeles)東部のボイルハイツ(Boyle Heights)から来た人もいた。

 NASAは今週も、火星のゲール・クレーター(Gale Crater)に着陸したキュリオシティーが撮影した最新画像を公開した。うち1枚は地面の石一つ一つが鮮明に見えるほど解像度の高いパノラマ画像で、探査車がこの先数か月かけて調査を行うシャープ山(Mount Sharp)の斜面などが写っている。(c)AFP